正倉院国宝「蘭奢待(らんじゃたい)」

沈香は東南アジアにのみ産出する天然の香木。学名aquillaria(沈香樹:沈丁花と同属異科)の木中稀に樹脂が蓄積。日本最古の歴史書「日本書紀」に「推古天皇の参年夏四月、沈水(香)淡路島に漂ふ着けり。其大き一囲、島人沈水を知らず、薪に交て竃に焼く、其煙気遠く薫る、則異なりとして献る。」との記述有り。正倉院の国宝、沈香「蘭奢待(らんじゃたい)」は古来、時の権力者、文化人の垂涎の的。削った「足利義政」「織田信長」「明治天皇」の名が記され香道最高の香木とされる。

2000年大阪大学の実地調査で蘭奢侍は東南アジアの東部山稜地帯の産であることが明らかとなった。本沈香は「蘭奢待」と同じ東部山稜地帯自生の沈香樹から採取された。強い鎮静成分と芳香があいまって人を精神世界へ誘う。香道の六国名(りっこくめい)は「羅国(らこく)」
沈香採取。学名アキラリア。沈丁花と同属異科。樹脂を沈香という。活木の幹や根を割って採取。埋もれ木は誤説。幹は夏つばきの肌でベンジャミンの葉。花は白く小さい。実はほうずきを小さくした袋中に黒い丸薬状で数個入っている。川辺など湿地を好む。
東京国立近代美術館
(伊藤深水)お家流香席
明治神宮香親会 皇族は祭事、高僧は瞑想、茶人は香席に用いる
官能による分類:分類基準「伽羅、春、夏、秋、冬、俤」は生産に由来する分類、香りの質の違いとなる。「月、花、風」は樹脂の含有率の高低、芳香持続力となる。
伽羅 樹齢80年以上の沈香樹の立ち木の枯死部分にある沈香が変質し、特殊なクロモン化合物を含むもの。高貴で清澄な香り。 古酒の類
樹齢11年以上の若い沈香樹の立ち木から採取した沈香を粉砕、樹脂のみを取り出したもの。淡白な甘味 新酒の類
赤道から遠い地域で、樹齢30年以上の沈香樹の立ち木から採取された沈香。こくのある甘味 花蜜の類
中間地域で、樹齢30年以上の沈香樹の立ち木から採取された沈香。甘味+酸味 果実の類
赤道付近で、樹齢30年以上の沈香樹の立ち木から採取された沈香。辛味 香辛料の類
おもかげ。泥沈香(どろじんこう)。土中の埋もれ沈香(泥沈香)は高品質だという根強い誤伝がある。実際は成分が変質し、香りはなく沈香としての価値は無い。 泥の香り
日本書記は最古の歴史書。淡路島、香木漂着のお話が主。
奈良東大寺正倉院。天平のタイムカプセル。大仏様の開眼式にお供えした宝物が納められてる。国宝香木沈香「蘭奢待」が有名。
蘭奢待を削った証拠に名を記す、明治天皇、足利義正、織田信長。
鹿島神宮 宝物殿に所蔵されるラオス産沈香の巨木。当社が採取、地元篤志家大竹氏が奉納。
1998年日本の子供達と1円玉を集めて、ラオス国ヴァンヴィエン市パッポン村に小学校を建設、皆で開校式に参加した。2004年10月、ワシントン条約の第13回締約国会議がタイで開催された。沈香が生じるアキラリア属とリノプス属は全種が附属書Uとなった。2005年1月12日から発効。正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」。この条約の規制の対象となる種のリストが附属書。1は商取引を禁止。2は輸出許可証が必要。密伐の利益は貧人より犯罪集団を肥やす。私たちに出来ることは「買わない」。地球環境を破壊して風雅の扉は開かない。2004年12月をもって国内国外を問わず一切の仕入を停止。1998年から2004年に、ボランテイア活動の縁で、ラオス政府の正式な輸出許可のもと国内に持ち帰った沈香がある限り活動の継続と伝統文化の継承のために用いる。「沈香」の空薫きから「心」の空薫きへ移行する。
鑑定熱帯アジアのみに生息する「学名アキラリア」には、香材用と漢方用の2種ある。香材用アキラリアの樹齢30年以上の木中稀に生じる樹脂を「沈香」という。樹齢80年以上の老木が部分的に枯れ、中の「沈香」が変質し、特殊なクロモン化合物を生じたものを「伽羅(きゃら)」といい香道で珍重する。東南アジア全域で偽物がつくられ旅行者が買う。数珠や仏像に化けることも多い。見た目を重視するので黒い光沢とにおいが強い。本物は薄茶色、常温ではほとんど匂わない。深部を削って焚けば判明。
贋物 木の根に芳香油を染ませ磨く。重く見せるため中空にして砂や金属を詰め込んだものもある。黒く、重く、そのまま強く匂う。
アキラリアの木の加工品(1) アキラリアは樹脂だけが「沈香」で、木質部は無価値。真珠と真珠貝の関係と同じ。アキラリアの木質部に芳香油を染ませ磨く。そのまま強く匂う。
アキラリアの木の加工品(2) アキラリアの木質部に香料を染ませ、四角い薄板に切る。茶道の初心者向けに「沈香」の名で広く市販。線香のような初香のみ、天然沈香特有の甘い残香が無い。香道には用いない。
漢方用アキラリアの樹脂の加工品 インドネシア、カリマンタン島で無香の漢方用アキラリアの樹脂が産出される。これに芳香油を染ませる。黒く、重く、磨いてあり、そのまま強く匂う。
泥沈香(どろじんこう)の加工品 土中の埋もれ沈香(泥沈香)は高品質だという根強い誤伝がある。実際は成分が変質し、ボロボロで、香りが薄く、沈香としての価値は劣る。芳香油を染ませ、磨く。そのまま強く匂う。