(出会い)1999年、生きがいだった会社が倒産。財産は失われ、友人も去った。ボランテイアの手伝いが救ってくれた。皆で建てた小学校の開校式のためラオスへ行き「沈香」に出会った。
(教え)2000年、神社の境内の一隅を借りた。四季それぞれ清新な気が満ちていた。冬は火鉢で炭を焚いた。いつまで働けるかなど不安に駆られると「沈香」をくべた。ひと時不安は霧消。「不安は気の乱れにすぎないよ・・・」「一片の沈香」が教えてくれた。
(安らぎ)神主の紹介で、自暴自棄の娘に途方にくれる母親が来た。癌を宣告されたが手術せず病と明るく共生している女性も来た。「沈香」を喜んでくれた。「一片の沈香」で苦しみや悲しみが和らぐ人がいた。
(行脚)2001年から全国で「香木の講演会」を続けている。黙って聞いて、香りを楽しみ「あとで届けて」と言って帰る人。貴重な収入だけでなく、琴線に触れたのが嬉しい。この道でよい。
(感謝)友も家族も沈香も「心を支えてくれる」「苦しみを和らげてくれる」「心と心をつないでくれる」。弱肉強食、それが人類の進化がもたらした環境の変化なら、順応までの数世代は大変な苦難、私もその最前線にいます。「沈香」を国民文化に育てます。ラオスへ一緒に行った吉本先輩は今は亡く、現地の人々も音信が途切れたまま。飛行機の窓から青と白の雲の峰、面影が次々に浮かんで消え、返せない恩の多さに今さら気付いて、慙愧と感謝。 (了)
豊田隆志