明鏡ノ湯(心を写す)

香道のすばらしさ。香りを言葉に変えようとする。心が言葉になる。心は言葉になると、人にも聞こえる。ひと時、互いの心がこだまする。

香りが心の扉をノックする。この感動を伝えたい、そう思って言葉を探す。とたんに、小鳥のさえずりがカタカナに変わるように、香りも輝きを失う。香りに酔う脳の働きと、言葉を操る脳の働きは、まったく別だとわかる。

香りを言葉にしようとすると、普段ではない脳の働きになって、精神世界が深まる。心の秘密があらわになる。鏡の絵を描こうとして、写っている自分の姿を描いてしまうように。