満天ノ湯(宇宙が見える)
(1)銘木の効能(沈香を磨きながら考えたこと)
(2)塊の中に宇宙を見る感動。
香木を磨く。香りが立つ。
初秋の屋上。青空。はとの群舞。せみの声。心地よい風。鳩の群れが2回旋回してから、方角を定めて飛んでいった。そちらの方向から、心地良い風が来る。せみの声がしている。夏を惜しむには、あまりに力強い声。
白い雲が二層になっている。低層の雲は左へ流れている。目を据えると、上層の雲が右に流れているように見える。この大地は、私を乗せて時速1,677kmで回転している。大地は、銀河の一部として宇宙の中心から時速250万kmで遠ざかりながら、149,597,870kmの軌道を時速107,280kmで疾走している。私はその中で、自分という一点を信じて、雲を見ている。見つめれば、雲は必ず、心の中の誰かに似てくる。見つめるほどにさらに似てくる。親しかった故人の顔が、別離の直後ははっきり浮かばないが、時がたつにつれ輪郭がはっきりしてくる。