カトマンズの町のあちこちに、大きな目が描かれている。この世で一番恐ろしいものは、自分を見つめる目だ。狙う目、観察する目。誰でも見つめられて平穏な気持ちを保つのは難しい。それがワクワクドキドキ快感を伴うこともある。鬼ごっこでは、追いかけてもらいたかった。かくれんぼでは、見つけてもらいたかった。やさしい丸い目より、猛獣の吊り上がった目の方に惹き付けられた時もあった。白い歯は、攻撃的に、ポスターの笑顔を目立たせている。注目を浴びたい、見られたい、その為には危険も犯罪も厭わない。そういう欲望もあった。
タンザニアの草原で、インパラの幼獣が、満腹のライオンに近づいて、からかうのを見た。か弱いからこそ、安心は大好きだが、時々危険の香りが欲しくなる。
鬼ごっこ。安全とわかっているなら追われ役の方がスリルがあって楽しい。赤ん坊も親しい人に追っかけられると喜ぶ。沈香は、安泰だけでは物足りない大脳新皮質の遊び道具。